スポーツを愛する全ての人へ 祝!TOKYO 2020

<スポーツを愛する全ての人へ>
2020年 東京でオリンピック・パラリンピックが開催されます。
世界が日本にやってまいります。
これを機にスポーツを取り巻く環境や、スポーツに限らず、広く社会が「和」の国、日本として発展することを願ってやみません。
近代オリンピックの父と呼ばれるフランス人のピエール・ド・クーベルタンは、スポーツを通じて異なる民族、言語、文化、宗教、考え方に対する偏見を減らし、異なる生活習慣や考え方を受け入れ、尊重し合うことの大切さを学ぶ機会とするべく1894年に国際オリンピック委員会を設立しました。
この精神に則ったオリンピックを開催することによって、参加した選手や参加した全ての人々が平和の橋渡しとなり、世界平和に貢献できると考えたのです。
当然のことながら、この考えはオリンピックに出場する選手や関係者に限られたものではありません。スポーツに携わる人、スポーツを愛する全ての人が等しく共有したい理念ではないでしょうか。
年齢や置かれた環境によってスポーツを始めるキッカケは、健康になりたい、強くなりたい、カッコいい、親や兄弟がやっていたから、など人それぞれだと思います。
ただ、入り口は様々でもスポーツにはその先に深遠なる世界が広がっています。互いを尊重し平和な社会や世界を目指すという崇高な理念があるのですから、スポーツを愛し、スポーツに携わる者は誰もが平和の担い手なのです。たとえそれが小学生であっても、身近なところから取り組めるはずです。大切なことは、体育や部活動、地域のスポーツ少年団の活動等において、このオリンピック憲章に基づいた理念を子どもの頃からしっかり学ばせることではないでしょうか。
ただし、伝え方は工夫が必要です。スポーツの楽しさを損ねることなく、オリンピックの歴史や経緯としてだけではなく、現実の生活に繋がる形で考えさせることが大切です。
それがいじめ問題や非行の抑制につながり、異なる意見も尊重する土壌が造られていくのではないでしょうか。
ピエール・ド・クーベルタンの有名な言葉に「オリンピックで重要なことは、勝つことではなく参加することである。人生にとって大切なことは、成功することではなく努力することである」があります。
様々なシーンで「スポーツは結果が全てだ」という言葉に出合いますが、本当にそうでしょうか。一部の限られたスポーツ環境の中では、それが真理なのかもしれませんが、オリンピック憲章には「肉体と意志と知性の資質を高めて融合させた、均衡のとれた総体としての人間を目指すものである」や「スポーツを人間の調和のとれた発達に役立てることにある。その目的は、人間の尊厳保持に重きを置き、平和な社会を推進することにある」と記されています。
結果よりも人間が成長していく過程を重視しているということです。その精神に照らせば、本来スポーツが目指すべき方向性は見えてきます。
「昨日の自分に負けない」「昨日の自分を今日はどれだけ越えられるか」
勝敗とは相対的な力関係の結果であって、自分が出来ることは、目標とする試合の準備期間に最前の努力をすることです。それは自分との戦いです。この努力の積み重ねが自らを成長へと導くのです。
スポーツにおいて大切なことは他者との優劣よりも、日々「今」の自分をスタートとして、いかに成長できるか、そこにあるのではないでしょうか。
ルールや審判、対戦相手、仲間を尊重するスポーツマンシップに則り、敵対することなく磨き合う好敵手と共に人生や社会を豊かにしていくのがスポーツだと思います。
2020年の東京オリンピック・パラリンピックが、スポーツの原点ともいえる、異なる民族、言語、文化、宗教、考え方に対する偏見を減らし、尊重し合うことの大切さを学び実感できる大会となるようひとりの日本人として祈っています。
スポーツを愛する全ての人が幸せでありますように。
微力ですが、そんな願いを込めて私はスポーツを書き続けたいと思います。
大元よしき(タイゲン ヨシキ)
1962年生まれ。2003年外資系IT企業のマネージャーからフリーのライターに転身。スポーツのほか、少年非行、歴史関連も執筆。弓道三段(右肩の怪我で断念)。保善高校からラグビーを始め、チームは2、3年時に花園に出場するも、グラウンドに立てたのは開会式のみ。東洋大学、関東社会人リーグで17年間ラグビーと共に歩む。
連載中!
「障害者アスリート~越えてきた壁の数だけ強くなれた」
「ルポ・少年院の子どもたち」
著書に
「あの負けがあってこそ~再起を懸けたアスリート25の軌跡」
「命のバトン~個性派不登校児と自閉症児の教室」
「1万回の体当たり~タックルマン石塚武生 炎のメッセージ~」
「一緒に見上げた空~自閉症児×元不登校児 武蔵野東ラグビー部の軌跡~」
「ジャパンラグビー革命」(上田昭夫/大元よしき共著)
「ファイナルマッチ~ノーサイドの時を迎えて~(小説)」(大元夏樹名で発刊)