究極の車椅子格闘技「第17回ウィルチェアーラグビー日本選手権大会」

第17回ウィルチェアーラグビー日本選手権大会が千葉ポートアリーナで開催され、決勝は「BLITZ(埼玉)」と昨年の覇者「北海道Big Dippers(北海道)」の対戦となった。
試合は一進一退のまま最終ピリオドまでもつれ込み、互いにミスの許されない緊張感がコートを支配した。まさに国内の頂点を“極める”一戦となった。
圧巻はBLITZの島川慎一と北海道Big Dippersの池崎大輔というワールドクラスの二人が敵対しながらも、スピード、チェアスキル、ハードコンタクト、ボールコントロールの全てに阿吽の呼吸のような動きを見せたことである。
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昨年の同大会の記事では、二人を「問答無用の仕事師」と書かせていただいたが、今回は「車椅子モンスターズ(失礼!)」としたい。
それくらい二人の動きは激しく高次元で目が離せないということだが、ゲームを戦略的に見れば、全ての選手が勝利のために重要なミッションを持っていることが伝わってくる。
結果はラスト数秒の攻防を制したBLITZが56-55で勝利し、2大会ぶりに国内最多となる8度目の優勝を果たした。

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ウィルチェアーラグビーは四肢麻痺者(頸髄損傷や四肢の切断、脳性麻痺等の障害を持つ)の競技であり、選手は障害のレベルに応じて0.5点から3.5点まで7クラスに分類され、コート内は4選手の合計が8.0点以内で競われるが、激しいコンタクトゆえの転倒もあるため、障害者スポーツと呼ぶには少々趣が異なる。

そこがこの競技の魅力と言えるだろう。

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2020年の東京オリンピック、パラリンピック開催に向けて障害者スポーツも注目を集めるようになってきているが、いまだ国内におけるウィルチェアーラグビーの認知度が高いとは言えない。
日本代表は秋に行われたアジア・オセアニア選手権でリオデジャネイロ・パラリンピックの出場権を獲得し、世界ランク3位という世界的強豪に位置しているにも関わらず、である。

今回の日本選手権に女子7人制ラグビー日本代表「サクラセブンズ」の中村知春キャプテンと冨田真紀子選手が観戦に訪れていた。できることなら選手同士、ファン同士が繋がることによって、ダイバーシティの観点からスポーツに新しい価値観が生まれ、2020年に向けてハードではなく、ハートにレガシーが創出されるのではないかと考えられる。

スポーツマンシップの要諦は多様性を尊重することにある。

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大元よしき(タイゲン ヨシキ) 1962年生まれ。東洋大学経済学部卒。2003年外資系IT企業のマネージャーからフリーのライターに転身。スポーツのほか、少年非行、歴史関連も執筆。保善高校からラグビーを始め17年間ラグビーと共に歩む。 その他のスポーツ歴は水泳、剣道、ハンドボール、弓道(三段)。

連載中!「あの負けがあってこそ」 「障害者アスリート~越えてきた壁の数だけ強くなれた」 「ルポ・少年院の子どもたち

著書

「強い組織をつくる 上田昭夫のプライド」
「あの負けがあってこそ~再起を懸けたアスリート25の軌跡」
「命のバトン~個性派不登校児と自閉症児の教室」
「1万回の体当たり~タックルマン石塚武生炎のメッセージ~」
「一緒に見上げた空~自閉症児×元不登校児 武蔵野東ラグビー部の軌跡~」
「ジャパンラグビー革命」(上田昭夫/大元よしき共著)
「ファイナルマッチ~ノーサイドの時を迎えて~(小説)」(大元夏樹名で発刊)